調香と女王の香り

調香(ブレンド)から生まれるシナジー効果

シナジー効果とは、相乗効果により、全体の最適化、効率化が発揮されること。自然、経済、社会など様々な分野で、この効果は測られています。香水の世界では精油をブレンドすることにより、さらに良い香りとなること、心身に与える好影響が期待できるとされています。

オーストリア出身の生化学者マルグリット・モーリーは、1961年出版の『最も大切なもの。若さ』の中で「治療効果を最大限に得るためには、特別誂えで香りを調合し、各人の要求に合わせた香りが必要だ」と結論づけています。彼女の患者は、何種類かの精油をブレンドすることにより、人格を高め、崩れた精神のバランスを取り戻し、全体的にバイタリティを強化して生きる喜びを味わうようになったからだと著しています。

女王の香り

かのマリー・アントワネット(マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・ドートリシュ)は、フランス国王ルイ16世の王妃でした。当時のファッションリーダーでもあった王妃の好んだ香りは、それまでの動物香料と植物香料をブレンドしたセクシーなものではなく、バラ、オレンジフラワー、スミレなど天然植物香料であり、華やかで癒しのある香りだったとされています。特に上質なバラの香りをこよなく愛し、自身の調香師にさまざまなブレンドの香りを作らせたといいます。

「マリー・アントワネットからの注文は少々難儀な内容だった。まずプチ・トリアノンを象徴させ、そこに王妃と羊飼いのイメージを盛り込んだ香水にしなければならないからだ。中略~核となるローズアブソリュート(純粋なばら)の香りが立ち上がり、それは官能的で守護神の様でもある。白いオレンジの花びらは肉厚で香り高く、フレッシュな香りはそよ風に似た子供のキスのような幸福な気持ちを呼び込む。」
(マリー・アントワネットの調香師 エリザベット・ド・フェドーより引用)

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